02:雪解け
雪解けは、どんな物事よりも先に
春を告げてくれる。
木々の芽が芽吹く前に、動物達が起き出す前に
暖かな日差しの前に・・・。
私達に春を告げてくれる。
――何時ものように、京楽隊長がいなくなった。
でも正直、今回は少し意外だった。――
サボりの理由(言い訳のレパートリー)は多々あるけれど、
京楽隊長はなにかと季節の事を自分のサボりの理由する。
「春の日差しに誘われて」
「熱くて仕事どころじゃない」
「紅葉に見とれてて」
この三つは言い訳ランキング、上位のもの。
だけど今は、夏でもなければ、秋でもなく冬でもない。
しかし、春だとも言い切れない。そんな季節。
つまり春は春でも雪がとけきってない、まだ肌寒い時期。
こんな時期に京楽隊長が、いなくなるなんてとても珍しいこと。
「まったく、一体どこに?」
吐き出す息はいまだに白く、
瞬歩で探しているため手足の先は感覚がなくなりつつある。
そんな所で、何時ものように寝ているのかと思ったら
恐ろしく不安になり瞬歩を速めた。
(風邪をひかれて、仕事を休まれたらと思うと、恐ろしい)
(!いた・・・)
それから探すこと数十分。
(ちなみに、自信の隊から一番遠い一番隊の近くにいた)
人が必死に探した当の本人は、なにやらしゃがみ込みじっと地面を見つめていた。
その姿にかなりの苛立ちを感じている自分を必死で押さえ込み、
自分の上司にいつもの様に話しかけた。
「ハァ・・・京楽隊長、何をなさっているんです?
こんな所にいたら、風邪をひいてしまいますよ」
「んー?七緒ちゃんかぁ。
今日は遅かったね。誰かに捕まったのかい?」
こちらを振り向きもしないで、普段の調子で答える上司に軽く殺意を覚えつつ
(ここで我慢した自分をほめたいぐらいだ
苛立ちと殺意が混じっているのだから)
彼に流されないようにする。
「そんなことよりも、京楽隊長は何をしているのですか?」
くだらない事だったら、さすがにこの本を後頭部に投げてやろうと思い構える。
「んー、実はさっきねぇ・・・フキノトウを見つけてねぇ、見てたんだよ」
「・・・フキノトウ?・・・」
「うん。ホラ、ここに」
やっと振り向いた彼の見ていた場所は、
少しだけ雪解けしていて、そこから「フキノトウ」が顔を出していた。
「へぇ、今年は早かったんですね。こんなまだ早い時期に、フキノトウだなんて」
「でしょ?雪解けしてたから、ふっとのぞいて見て、そしたらあってねぇ・・・」
でもそのおかげで体が冷えちゃった。
と言っている彼に。私は・・・。
「では、暖まるついでに仕事、しましょうか」
とびきりの笑顔を差し上げました。
――その帰りにね、「よくこんなに小さいもの見つけられましたね」
って聞かれたから教えてあげたんだ、僕のかわいい部下に。
「雪解けってどんなことよりも早く、春を告げてくれるじゃない?
だからこんなに寒くても、もう春が来たんだなって思って、
近くで見ようとしたら見つけたんだ」
ってね。
ああ、でもやっぱり暖かい春のほうが好きだから、
暖かい春、早く来ないかなぁ・・・。
後書(また真瑠須です。)
八番隊って、なんか春っぽいですよねぇ。
でも、フキノトウは好きじゃないです。
あ、関係ないですね。
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