二番隊:強き故に君達は危うい

ただ、強くなりたかった。


あの人と、肩を並べられる、強さが欲しかった。

力とは、何なのかさえ、分かっていなかったのに。


私の主君である夜一様に認めてもらい、
共に戦場を駆けることが出来るようになって何年かたった。

もちろん、死神である我らにとってはとても短い歳月。
私は自分がまだまだ甘いと、自身を鍛え上げ、修行に専念していた。
もっと、もっと夜一様に認めてもらえるように・・・、
夜一様の力になれるように・・・と。


しかし、その頃の私は同時に自惚れてもいた。


認めてもらえたこと。一族に貢献できた事。
そんな様々な事で私は、油断をしていた。
その油断、隙間さえなかったらと、今でも後悔している・・・。


その日の仕事は簡単だった。

新たに配属された新人達の研修及び、
夜一様の「運動」。それがその日の仕事。
多くの事務仕事ですっかり鈍った体を、
何とかしたいという申し出の為でだ。

「いやぁ、久しぶりに体を動かしたのぉ♪」

「ご冗談を。夜一様は、ほぼ毎日どこかに出かけておりますでしょう?」

「・・・キツイ事を言うようになったの砕蜂・・・」


くすくすと漏れる笑い声。
普段ならこんな事はないのだが、
まだ新人と言う事と、夜一様の指揮の為だいぶ寛大だ。


日はもう夕暮れ。
あとは屋敷に着き、解散するだけ。
たったこれだけの事だった。



―――不意に、空気が揺れた―――



「「「!!!」」」
大量の虚。
しかもかなり位の高いやつら。
我らは立ち止まる。

「・・・どうやら、待ち伏せしていたらしいのぉ・・・」
「そのようですが、どうしてこんな所に?」

尸魂界でも虚の被害は出ている。
むしろ、灯台下暗しと言う言葉があるように、
死神の隙をついてのルコン街での、襲撃が後を絶たなかった。
だが、こんな所に、しかも待ち伏せ。
聞いたことがなかった。

「まぁ、そのことは後で調べるとして・・・。
今はこの状況を、何とかするべきであろう?」

「はい、夜一様」

その時、私は自分で何とかするつもりだった。
この量でなくて、数匹だったが
こいつらのレベルの奴は倒した事があったし、
なにより、夜一様にいいところをお見せしたかった。


私は、一人で飛び出した。
夜一様が隊をどう動かすべきかと考えている最中に、
駆けていったのだ。


「なっ!?砕蜂!?」


結果は、確かにほとんど私一人の力で倒す事ができた。
だが、私は深手を負った。
しばらくは絶対安静にしていなければならないほどに。

「すいません、夜一様。私の修行不足でした・・・」

「・・・・上には、被害を最小に抑える為に自己判断で向かった。
そう、伝えたが事実、変わりないか?」


「・・・はい・・・」


悔しかった。惨めだった。


深手を負い、尚且つ、主君に他所なりとも怪我をさせてしまった。
夜一様は私を助ける為に、うでに傷を負ったのだ。


(なにが、いい所を。だ・・・私は、部下失格だ・・!!)


「・・・おぬしが何を考えているか、当ててやろう」

「・・・えっ?・・・」


「わしの部下を辞める気だろう?」


「!! どうし・・」

言葉が続かなかった。
顔を上げた瞬間、夜一様の辛そうな顔が見えたから。

     「・・・やはりな。そんな事、わしがさせんぞ・・・」

「しっ、しかし!
私は、夜一様にっ!命令に背むきましたっ!!」

「確かにのぉ。じゃがそんな事でわしは、部下を捨てたりはせん」
「しかし・・・」

「くどい!!わしがそう言ったんじゃ。もう決まりじゃ」

ニコッと笑ってくださる。
それだけで私は、救われたような気がした。
捨てられてもおかしくはない私なのに・・・。


「あー、そうそうその代わり・・・」
「なんでしょうかっ!」
許してくださるなら、どんな罰でも!
と言えば、そんな力むなと諭された。


「いいか、砕蜂。
もう二度と、己の力を過信してはならん。
過信は、誤解を、悲劇を招く。
力は、ありすぎてはならないもの。
己の実力を見極め、真実を見定めていくのじゃ、良いな?」



強き故君たちは危ういのじゃから。



そう、締めくくった夜一様は泣き崩れる私を
ずっと抱きしめてくださった。




後書
羽 あー、第二段です・・・。
砕 ・・・何なんだ、コレは?
羽 文句をつけたくて仕方がないって、目で睨まないで下さい。
  めっさ怖いですから・・・。
砕 駄文だな
羽 あっ!一言で全てを全否定!?
砕 文句あるのか?
羽 ・・・・ないです・・・
砕 これでは読者が悲しむだろう、私と夜一様の絡みが少ないとな。
羽 そう思う人もなかなかいないと思いますけど・・・。フッ(鼻で笑い)
砕 ・・・・!!(自分で言ってしまって恥かしい)
  「雀蜂」!!!
羽 えっ!!ちょっ、ちょっと隊長!?
  ギャーーー!!!




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