05:涙雨

泣きたい時に
泣けない。

そんな時は、
空が変わりに泣いてくれると、
その人は教えてくれた。

初めてケンカして、
初めて「いってらっしゃい」を
言わないで送り出した。

そのことを後悔しなかった日はない。


―――井上 空 告別式―――


『かわいそうに・・・』
『身寄りがないから、
二人で暮らしていたんでしょう?』
『それなのに事故で、ねぇ』

お葬式の事は、顔もよく知らない親戚の人がやってくれた。
だから、あたしはただ流れに身を任せて、って感じだった。

お兄ちゃんのお葬式は、
お葬式じゃなくても悲しくなるような雨の中、行われた。


(・・・なんで、なんで泣けないんだろう?周りは、皆泣いているのに・・・)

おにいちゃんの友達みたいな人とか、
お葬式の手配してくれた人、
ご近所さん。

それなのに、あたしだけ泣けないでいた。

色々と終わって一段落ついたことで、
あたしは一人になりたいといって、外に出た。


でも雨が降ってるから屋根があるところまでなんだけど。


(・・・そういえば、お兄ちゃんが前になんかこんな雨のことを、教えてくれたような・・・)


「あっ、『涙雨』だ、これ・・・」

『どうしても、泣きたいのに泣けないときはね、空が変わりに泣いてくれるんだよ』

『どうして?』

『空はね、いつも僕らを見守ってくれているだろう?』

『うん』

『だから、泣けないぐらい悲しい事があると、空はその事を分かってくれて、代わりに泣いてくれるんだ』

『へぇ!お空って、とっても優しいんだねっ!!』

『そう、だから―――』



「だから、涙雨・・・・」



今は泣けなくても、
泣けないぐらい悲しくても、
いつかきっと、お兄ちゃんの事で泣けられる日が来る。


「その時まで、あたしの代わりに泣いてくれる?お空さん・・・」




後書(と書いて懺悔と読む)
最後まで、誰にするか悩んだお題でした・・・・。
(いつもなような気が・・・)
それにしても、ブリーチの皆様って悲しい過去がありすぎる気がします・・・。
不幸な少年(?)少女(?)が大量出現ですねぇ、フー。←ため息(失礼)




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