05:虚のキズアト

「虚・ホロウ」
それは、人の魂のなれの果て・・・。
死んで、心を失い、その失ったものを
取り戻すために生前の大切だった人を喰らう、
魂のバケモノ。


・・・その人の魂を喰らっても、
彼らの望むものは得られないというのに・・・。


そうして、
彼らは皆共通の「キズアト」を作っていく。


――「そこ」には、何もなかった――


「そこ」には、見知らぬ女がこちらに向けて、何か叫んでいた。
その女は泣きながら、必死に俺に叫んでいるようだった・・・。


だが、俺はその「声」が聞こえない。
何故か、酷く、酷く、もどかしかった。
俺が聞こうとしても、その女が何を言っているのか聞こえず、
俺が手を伸ばしても、その女に届くことはかなわない。


真っ白な世界で、俺とその女だけ・・・。
俺たちがどんな状況かさえ、分からない。


――そして、暗転――


暗くて、何も見えなくて、俺が先ほどまでいたところなのかも分からなくて、
周りを見渡しても、黒・黒・黒、闇・闇・闇。
恐ろしい・・・何も無い・・・俺は、ココに存在しているのか?


「俺」って、『ナンダ』?
そうして、『俺』は「俺」をなくした・・・。


・・・目が覚める。
ここまで睡眠に時間をかけたのは久しぶりだ・・・。
・・・体が重い・・・。やはり、虚の俺たちには睡眠など不要だな。


まだ、ボーとしてる頭を振って、
意識を無理やり覚醒させる。


そして、ふと思う。
(夢、を見ていた気がする・・・)
何だが懐かしくて、とても気がかりな夢。


(どんなものだった、か?)


だが、その内容は風に散っていく砂のように、
彼の頭から急速に消えていった。


砂が散っていくのを止められないように、
彼もまた夢の内容を思い出せなくなっていった。


(・・・まぁ、いい。俺には関係のないことだ)


彼は気が付かなかった。いや、忘れていた。


彼が見た夢が、彼の過去だということを。
彼が見た女が、彼の大切だった者だということを。
彼の見た闇が、彼自身の心がなくなった瞬間だということを。


それでも彼は歩いた。
闇の中で闇に溶け込み闇と共に歩いた。
十刃として、破面として、「ウルキオラ」として、
見えないキズアトを、なくしたモノと一緒に。



後書(今回は真瑠須です)
ウルキオラ初登場。
でも、ウルキオラって破面だよね・・・?
虚のキズアトなのに・・・。
まぁそのへんはつっこまないで下さい!!




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