バカは風邪をひかないのは嘘

よく、「馬鹿は風邪をひかない」というが、
これは実際には間違っている。


本当は、
「馬鹿は風邪をひかない」のではなく・・・・。




いつもどおり出勤してきて、いつもどおり自分の副隊長がいないこと
(いることではない、いないことを、だ)を確かめる。

(まだ来てねぇし・・・。昨日はあれほど、俺より早く来いっつたのに・・・・)

もちろん、彼はその副隊長が早く来られるようにいつもより出勤の時間を遅めにした。


ハァ・・・。
と大きなため息をつけば、他の部下が自分の出勤に気が付いて、駆け寄ってくる。

「おはようございます。隊長」
「・・・あー、おはよう。にしても、またあいつは来てねぇようだな」


一応、確認をしておく。
しかし、彼の部下から出た言葉は彼の予想を大きく上回っていた。



「・・・ゴホッ、ゴホゴホッ!!
あ゛ー、あ゛ー・・・まいったなぁ・・。完璧に風邪みたい・・ゴホゴホッ、ゴホッ!」

咳き込んでいる彼女、乱菊は1人暮らしのため水枕からすべて
自分の手で用意しなければならなかった。

(あー、もう。めんどくさいわぁ・・・。ていうよりも。体がスッゴクだるい・・・。
昨日、あの雨の中傘もささないで帰ったのがまずかったのかなぁ・・・)

おもいっきり、それは自業自得というものである。

布団の中で、氷を用意しようと立とうとしている彼女のところに、
思わぬ来訪者がやってきた。

「どうせまた、昨日の雨の中酒を飲んでいて傘もささずに帰ってきて、
ろくに体を拭かないで寝て、風邪をひいたんだろ?」

「た、隊長!ゴホッ!(なんで、分かってんだろっ?)どうし、ゴホゴホッ!」

「たっく、もうしゃべんな、俺がやってやるから。
ちなみにこの情報の出はお前が昨日一緒に飲んでた、吉良からだ」

「そうですか・・・(アイツゥ、風邪が治ったら覚えときなさいよ・・・)」

乱菊が理不尽な怒りを燃やしている最中に、冬獅郎がテキパキと準備を進めていく。

「そ、そういえば、隊長。仕事はどうしたんですか?」

咳き込みながら聞くと・・・・。

「・・・休んだ・・・」

「えっ!」

(そんな、隊長があたしのために仕事を休んでくれたの?!)
かなり嬉しい様子の乱菊。だが。
「お前のためじゃないからな、言っておくが・・・」
乱菊の顔を見て、どんな事を考えているのか大体分かり、
げんなりした顔で言い切った冬獅郎。


「ゴホッ!?ち、違うんですか?ゴホゴホッ!」

「当たり前だ。朝、部下から聞いたんだ。だが、俺に言う前にその部下がお前に、
卯ノ花から貰った薬を届けに行ったらしいが・・・」

「・・・あ゛っ・・・」
心当たりがあるらしい。

「部下が言うには、薬を届けようとしたのはいいが、薬なんか飲みたくないといわれ、
追い出されたらしい・・・・」

「・・・・・・(視線をそらす)」


「そこで、俺が来たわけだ。薬を飲ませるためと、
どうせ救護班のところに来ないのだから、看病しろっつう卯ノ花の命令だ・・・。
なんか、弁解の言葉はあるか?」

「・・・・ナンニモアリマセン・・・・」

そうこうしていく内に、すっかり看病される側と
看病する側の環境がそろっていた二人であった。


「そういえば、隊長」


お昼を食べ、(無理やり)薬も飲み、そろそろ冬獅郎が帰ろうかと思い始めたとき
寝ようとしていた乱菊が話かけてきた。

「なんだ?」

「やっぱり、あたし、馬鹿じゃないですよ。風邪ひいたしw」
笑顔で言う乱菊。
その姿に、頭痛がしてきた、冬獅郎であった・・・。


「お前なぁ・・・、そんなこと言う前に早く治しちまえよ・・・」
「そんな事って!あたしにとっては、重要な事なんですよ?」
薬を飲んだためか、咳が出なくなっていてよくしゃべる乱菊。
「『馬鹿は風邪をひかない』やっぱり、これは嘘ですよね、う・そ!」
「・・・そうだな、それは嘘だと俺も分かった・・・」
「でしょ!やっぱり、隊長は話が分かる方ですねぇw」
「俺が思うに『馬鹿は風邪をひかない』じゃなく、
『馬鹿は風邪をひくような愚かなことを平気でする』だな」

「え゛!?」

そう言って、よっこらせと立ち上がる。
「ちっ、ちょっと隊長?い、今のって・・・」
慌てる乱菊。

「本当の事だろ?まさに、お前の事だしな」

「ぐっ!それは・・・」


「じゃあな。薬も飲ませたし、もうそんなに元気なら俺がいなくてもいいだろ。
俺は帰って仕事をしませなきゃいけないんでな」

呆然としている乱菊をよそに、帰り支度をしている冬獅郎。


「早く治せよ、一応お前はうちの隊の、副隊長なんだからな」

帰っていった、冬獅郎。
そのあと、乱菊は自分は隊長にとってどう思われているんだろう?
と、とても思い悩んだそうな・・・。



後書(と書いて懺悔と読む)
ベタベタな看護話。
でも、こんな甘くないギャグで終わったのも
なかなかないと思いますよ(笑)
この看護している時彼は、
表には出しませんでしたがかなり乱菊さんの事を心配していたんです。
でも、元気になったのを見て、仕事のことを思い出して
さっさと帰ってしまったんですw




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